むちうちを早く治すにはどう過ごす?
事故の大小にかかわらず交通事故に遭い、多くの方が悩まされる首周りの辛さ。いわゆる『むちうち』と呼ばれる状態ですが、重症度の度合いで症状が大きく異なる事など、症状においては個人差が大きく認められる事が多いものです。
むちうちが出ている方に共通するのが『早く治したい』という症状からの解放であると考えています。
目次
自宅で行うむちうちの対処法
むちうちに遭ったらお風呂は気をつけて
むちうちに遭った初期はまず安静第一。炎症を抑える為に入浴は控えて下さい。
入浴すると、普段であれば血行が良くなる事で組織の修復を早めたり早く治したりする事が出来ると言われていますが炎症症状があるとかえって逆効果となり、症状が強くなってしまう恐れがあります。
軽傷だと自己判断をして温めてしまうと危険ですのでまずは2、3日は入浴を控えましょう。
むちうちの時どんな事に気をつけて過ごせばいいの?
首は頭を支えるために大きな力を必要とします。ただでさえむちうちにより痛めてしまっている首に、頭を支える仕事が加わると治りの早さにも影響してきます。
特に車の運転やバイクの運転(ヘルメットをかぶる事)、スマートフォンの操作やPC作業で頭が前のめりであったりすると首の負担は増えてしまいます。
今まで難なく出来た事が事故後、辛くなる事でむちうちによる症状を自覚する方も多いです。
一番はそれらの負担が首にかからない様に過ごす事が大切ですが、中々そうはいかないのも現実です。
出来る事なら、受傷後2、3日は横になって首を休めれると症状は引きやすく、どうしても仕事などで休めない時は、首の位置が前に出ない様にして下さい。
首の位置は意識した方が良い?
この位置で過ごしていると、首自体は休まらず、症状が悪化したり治りが遅れたりしてしまいます。
この位置で過ごせると、首へのストレスが軽減されます。
ただ、ご自身の筋力で無理矢理この位置を作ろうとするとかえって首に負担がかかってしまいます。
意識出来ると良いのは、肩甲骨の位置で改善する事です。ボクサーのパンチの様に手が前に出てしまうような姿勢ではなく肘が脇に付く位置でいると自然と首が前に行く事を避けられます。
そもそもむちうちって?
交通事故外傷などにおける頸椎(首の骨)の急激な過伸展(上を向く方向に大きく動くこと)、過屈曲(下を向く方向に大きく動くこと)による傷害であり、発生機序による俗称から「むちうち損傷」とも呼ばれ、骨折、脱臼を除く頸部の筋、靱帯、神経、血管など様々な損傷が考えられる。
追突などにより頸部が過伸展、過屈曲してS字状軌跡を描き発生する。
臨床的には頸椎捻挫型、根症状型、頸部交感神経症候群型、混合型、脊髄症状型に分類される事が多い。
※柔道整復学・理論編 第6版
と、長々しく書きましたが、ざっくり言うとむちうちにより損傷する箇所は様々で、症状や障害が起きる場所も様々であるという事です。
事故の規模の大きさやシチュエーション(助手席に座っていたり、歩行者で車に接触されたりなど)、事故に遭った方の体格や筋力なども違うのでその分の差も出るとも言えます。
むちうちの治療法
むちうちの初期は炎症期と言い、痛めた首が熱を持っていたり、自発痛がある場合があります。
その時期に手技療法や関節可動域訓練などを受けると症状が強くなってしまったり、治るまでにより時間が掛かってしまう場合があるので安静にする事と冷却をする事をお勧めします。
そうする事で強い症状を早い段階で落ち着かせる事が出来ます。受傷当日や翌日まで症状がなく動けていても、翌日翌々日に症状として出てくる事があり、その場合も炎症症状が出る事があります。
頸椎カラーって巻いた方が良いの?
以前は頸椎カラーといって首の痛みがある人は首を動かしにくくする固定をしていました。
しかし現在ではあまり使われていない事が多く、町を歩いていても巻いている人をみかける事は殆ど無くなりました。
頸椎の安静を図り、早期回復にはとても優れているものですが、頚部の筋力を低下させてしまう要因にもなってしまいます。
そうすると、炎症期は落ち着いていたが、症状がなかなか改善しきらないなどの愁訴を訴える方も少なくありませんでした。なので、筋力低下を防ぐ為に現在ではあまり頸椎カラーを着用する事は少なくなってきているようです。
どんな治療が早く治るのに大切なの?
炎症期が抜けた後は、動かせる範囲をむちうち前に近づけていく治療のメインになりますが、首の痛みが出なくても、酷い場合ですと前腕から手指の痺れ、後頭部の鈍痛などの愁訴が二次的に出てくる様にもなるのでそれらの改善もしなくてはなりません。
また、そのような症状は首の痛みが落ち着いた後でも残ってしまう事が多いです。
画像診断(レントゲンやMRIといった撮影をしたものを使って診断する事)上では異常が見られないことも特徴で、外見上も異常が見つかりにくく、軽視されがちです。初期のこのぐらいの症状であれば放置でも大丈夫!と思われていても、後々に症状が出てきたり症状が抜けきらなかったりする場合があります。
むちうちを早く治すためには軽めの症状であっても、早期に治療をこまめに受ける事で症状の改善、悪化させない様にする必要があると言えます。